新宿からお台場までの大移動が与えてくれたもの。
自らの脚で立って眺めることの許されない景観の中を、苦しみを伴う反復運動を繰り返しながら、わずかに進んでいます。それも3万人近い群衆の中で……。
小春日和の下、沿道から降り注ぐ視線と声援が、身体の鈍さを軽減してくれます。お腹が空けばたやすく食料にありつけ、体力は回復します。隣ではいわゆる有名人が走っていて、刺激的でもあるのです。
こんな環境の中で走る経験は、もしかしたら二度とないかも……という一種の強迫観念が、いまの喜びを増幅させてくれます。
それが『東京マラソン』なのでした。



